2010年09月02日

今季残り〜2011年の霧野的必見選手

そろそろ趨勢が決まりつつある両リーグ。
去年終盤の楽天級をも超える無双っぷりが無い限り、
現4位チームの逆転CSは多分無理。

そんな今年のペナントレースを支えた、あるいは
これから決戦〜ポストシーズンのキーパーソンとなるかもしれない
エキサイトな選手を霧野の好みと独断で紹介。
あ、誰が見てもスターと言う選手は敢えて外してます。


的場(ロッテ)
ホークスでは斉藤とのセットでしか語られなかった彼が
ここまで重要な存在になるとは誰が予想しただろうか。
打率を見る限りでは攻撃力は相変わらず全く期待できないし、
肩もやっぱり捕手としては決して強い方じゃないのに、
それでもあの里崎をも脅かすほどの地位を築き上げた。

「女房役」「扇の要」などと称される捕手の場合、
目に見える派手な成績なんて無くても、
投手や野手の信頼を得られるだけの人柄や
コミュニケーション能力があれば「良い捕手」となりえる。
そんな事を改めて教えられたような気がする。

勤続疲労のためか里崎の故障がちに拍車がかかってる事、
「和」をスローガンとし無形の力を重んじる西村監督の傾向、
こう言った要素はもちろん無視できないけれど。
とにかく数字やデータばかりで語られがちな野球に
まだまだ彼のような選手が輝く余地がある事は、
全ての野球ファンにとって幸せな事ではないだろうか?


朝井(巨人)
パワー&タフネスが売りの、右のカーブピッチャー。
楽天では台頭著しい永井が比較的タイプの近い投手であり、
性質がかぶっている上に相手がイケメンでは分が悪く……
と言う訳ではないだろうが不振が続いて巨人にトレード。

典型的な「投げさせてみないとわからない」系なのだが、
良い時の彼のカーブには工藤や桑田のような
一世代前のエースが投げていたそれに近い魅力を感じる。
……若さゆえかまだまだそんな大エースほどの技巧は無く、
あまりによく切れるカーブを本人が制御しきれていない、
そんな印象の場面も度々見受けられるのはご愛嬌。

PL出身で野手としてのセンスも評価されていた、
そう言う意味でも桑田直系の後輩と言える朝井が
巨人に入ったのはある種の運命なのだろうか。
発展途上の楽天でシーズン10勝寸前まで行った大器が、
偉大な先輩をあっと言わせるところを見てみたい。


石川(横浜)
彼の名前を最初に知ったのは、あの因縁の試合。
古田選手兼任監督が2000試合出場と言う最後の節目を迎えるも、
試合の流れは横浜大幅有利と言う状況で代走として出場した彼が
(空気を読まず?)盗塁を決めて乱闘騒ぎに発展した一戦。

あの一件については俺なんぞよりよっぽど野球通な方々によって
もうさんざん語り尽くされているので置いておくとして。
昨年ほぼレギュラーの座を掴んだ時には、
当時は「ヤクルト石川投手と同姓」くらいの認識しか持たなかった
あの若いのがここまで来たか、と感慨深い気持ちになったものだ。

昨年の成績そのものはもうひとつ力及ばず
「打てない、守れない」に終わってしまった彼が
シーズンオフに勝ち取った年俸倍増+背番号7。
その時は多くの横浜ファンが彼と球団を批判したであろうが、
今年の活躍はそんな前評判を覆してなお余りあり、
低迷の続く横浜に数少ない明るい話題を提供し続けている。
四球の少なさ、相変わらずの球際の弱さなどまだまだ課題は多いが、
今後も順調な成長を願わずにはいられない。


川端(ヤクルト)
シーズン前には「妹が新発足の女子プロ野球入り」と言う
自身に直接関係のないところで話題になった若き大型遊撃手。
俺自身がヤクルト贔屓と言う事もあって
実は彼のプレーは入団当初から何度も見ていたのだが、
とにかく印象に残ったのは失礼ながら「守備の拙さ」。
これじゃ宮本の後は継がせられないな、とか
伸びる方向は主に攻撃面だろうな、とか考えていたのだが、
今年途中から姿を現した「成長した川端」の姿は
ある意味で予想通り、ある意味で予想以上のものだった。

さすがに入団当初よりはだいぶマシになったものの、
相変わらず打球判断が頼りない。安定感が欠片もない。
しかし、打撃面はと言うとこれが伸びたなんて次元じゃない。
左打席からコースに逆らわないシュアな打撃で
右へ左へと鋭い打球を飛ばす姿はまるで青木がもう1人いるよう。

身体能力が高く、リストの強さを生かしたパンチ力も秘めるので、
彼の目指す姿はかつて不動の3番だった岩村になるだろうか。
来年は是非とも1年通して活躍するところを見たい。
posted by 霧野 流 at 06:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球

2007年11月17日

ゲッツー態勢、バックホーム態勢

「ゲッツー」はダブルプレイ、「バックホーム」は本塁への返球。
ここまではあまり野球に詳しくなくても、放送を何度も見ていればなんとなくわかる用語。
しかしそれを主眼に置いた守備シフト、となると解りにくいと思われます。
野球中継ではしばしば「内野はバックホーム態勢」などと用語が飛び交いますが、
具体的な守備シフトまで画面で見せてくれるケースは稀です。

と言う訳で今回は、いわゆる「守備シフト」の中でも言葉を聞いただけでは解りにくい
「ゲッツー態勢(ゲッツーシフト)」「バックホーム態勢」の解説を行います。


「ゲッツー態勢」はその名の通り、併殺(ダブルプレイ)を取るための守備シフトです。
打者に内野ゴロを打たせ、二塁→一塁の順にアウトを取るのが理想的な併殺。
その後に一塁への送球を行うため、二塁でのアウトは可能な限り素早く取るのが望ましい。
そこで素早くアウトを取るために、二塁手あるいは遊撃手(場合によっては両方)が
普段よりも二塁ベース寄りに守備位置を取るのが一般的な「ゲッツー態勢」です。
この「ゲッツー態勢」、バッテリーとの連携も重要な要素となります。
と言うのも二塁手・遊撃手がベース寄りに位置してしまう都合上、
一・二塁間や三・遊間はガラ空き。狙い打たれたらひとたまりもありません。
バッテリー側は、ボテボテの内野ゴロ以外を打たせてはならないのです。
この辺を取り仕切るのは大抵、投球をリードしかつ内野全体を見られる捕手の役目。
捕手が扇の要、守りの要と呼ばれる理由の一つでもあります。

実戦では前回の「打球方向」も念頭に入れ、例えば極端な引っ張り傾向の左打者に対しては
遊撃手だけが二塁ベース寄りに位置し二塁手は定位置、のように守備陣形を取ります。
ここで前回少しだけ話に出た、「右打者の右打ち」が生きます。
一・二塁間を抜く右打ちに対して併殺を狙うには、二塁手が定位置に守る必要があります。
そうすると遊撃手がベース寄りに守らなくてはならないが、
右打者に対して三・遊間をガラ空きにするのは
引っ張ってくれと言っているような物でちょっとハイリスク。
また右方向への長打が出れば、足の速い一塁ランナーなら長駆ホームインができます。
2番打者に「右打ちのできるアベレージヒッター」が好まれるのはこの辺の理由です。
この手の技巧派打者は、だいたいバントも上手ですしね。


「バックホーム態勢」は、もう1点もやれないような状況で
三塁ランナーのホーム生還を防ぐために使います。
具体的には、ホーム以外でのアウトを二の次にした極端な前進守備。
内野全員が前に詰め、これによって生じるポテンヒットを防いだり
犠牲フライを阻止したりするために外野も極端に前に出るのが普通。
当然ながら、外野の取れない位置に落ちたら長打確定。
正念場でのみ使われる、ハイリスクハイリターンの守備陣形です。
野球中継で「バックホーム態勢」の言葉が聞こえたら、
それはその試合の勝負どころである可能性が高いです。
しばしば試合のターニングポイントになるので、そこからの展開は要注目です。
posted by 霧野 流 at 10:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 野球

2007年11月10日

打球方向と飛距離

baseball1.jpg野球放送などでよく耳にする、
「流す(流し打つ)」「引っ張る」と言う表現。
これ、野球ファンには常識な割に、野球をあまり見ない人には
解りにくい用語の代表格ではないでしょうか。
「ダブルプレー」とか「デッドボール」とかは割と通りが良い気がするのですが。

と言う訳で、今回の記事はこの「流し打ち」「引っ張り」の解説を。
まず念頭に置いて欲しいのは、バッティングとは基本的に
スイングの遠心力によって生まれる加速力で打球を飛ばすものだと言う事です。
つまり、できるだけ遠心力の乗る位置で打った方が飛距離は出やすくなります。

この原則に乗っ取り、スイングを早めに開始することによって
バットに加速がついてきたところでミートするのが「引っ張り」です(図1)。
大きな加速力が乗るため、非力な打者でも強い打球を放ちやすくなります。
反面、スイングの始動が早く打球を捉えるポイントも前の方になるため、
ボールに対応して打つ事が難しく、空振りや打ち損じのリスクは増します。
またスイングの後半でミートを行う性質上、「引っ張り」の打球は
右打者ならレフト方向、左打者ならライト方向へと飛びます。

逆に、スイングの始動を遅らせることでボールを見る時間を延ばし、
対応してミートする事を意識した打ち方が「流し打ち」です(図2)。
スイングの前半でミートを行うため、打球は引っ張りとは逆の方向、つまり
右打者ならライト方向、左打者ならレフト方向へと飛びます
(この打球方向を単純に「逆方向」とも言います)。
特に右打者によるライト方向への流し打ちは「右打ち」と呼ばれ、
走者の進塁を意識する時のセオリーとされます。
(ここの解説は守備シフトとの駆け引きなどちょっと複雑なので今回は割愛します)
対応力に優れる反面、あまり遠心力に頼れない打ち方のため、
打球の強さは打者の筋力やリスト(手首)の強さに依存する事になります。
「逆方向へのホームラン」は、
それだけでホームランバッターのステータスとなりうる物なのです。
パワーは無くとも、俊足の左打者なら三塁の前や三遊間の深いところに転がして
内野安打を狙う事もできます。


まとめを行います。
「引っ張り」
・打球は右打者ならレフト方向、左打者ならライト方向へと飛ぶ。
・強い打球を飛ばしやすいが、ボールを見られる時間が短くミートは難しい。

「流し打ち」
・打球は右打者ならライト方向、左打者ならレフト方向へと飛ぶ。
・ボールを長く見られるためミートはしやすいが、パワーが無いと強い打球は飛ばせない。


打者は自分の力量と状況に応じて、これらの打ち方や
真正面に打ち返す「センター返し」に加え、
バットを長く持ったり短く持ったり、バッターボックス内で立つ位置を細かく変えたりして
相手バッテリーの内角・外角、速球・スローボール、直球・変化球と言った
様々な投球と駆け引きを繰り広げます。
中でも「引っ張り」と「流し打ち」は打球の飛ぶ方向で誰にでも簡単に見分けがつくため、
これまであまり意識していなかった方は、
是非今後は打球の方向に注目して野球の試合をご覧になってみて下さい。
posted by 霧野 流 at 06:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球