2010年10月03日

ナンシン王朝プレイ記・2

注意書きはこっち
ご理解・ご同意いただいた方のみ、続きをどうぞ。


とりあえずここまで1時間で書いた。
私はトーリアが捕縛してきた間者に、差し支えない程度の情報と食料を与えて即座に解放させました。
大きな賭けでした。事が彼らに露見すれば、私は間違いなく売国奴として首を刎ねられるでしょう。
しかしこのまま帝国派の増長が続けば、自分の命よりも大切な何かを失う気がしてならなかったのです。

国は滅んでもまた興せる。けれど、失われたら決して帰って来ない物は他に沢山あるのです。
                    〜後ナンシン朝史 侍従・ランジェ=マリメデの手記より




「ミリディア史上最年少の女王、若くして『聖女』の名を取る魔術の天才―――
 どちらも真の姿はまだまだ只の小娘、そう言わざるを得んだろうな」

 思いのほか早く戻ってきた密偵の報告に目を通し、精悍な青年が呟いた。
詳細な報告の中でも特に青年の目を引いたのが、ミリディア女王・セレスとその友人「クレフの聖女」ミツハの不仲疑惑だった。
大国とは言わぬまでも伝統ある一国家の主と、その片腕たる人物の間の亀裂。普通の国なら、そんな情報が他国に漏れる事は何が何でも避けるだろう。
少なくとも「予想外の短期間」で、手に入るような類の情報ではないはずだ。

「しかし、先代からの臣であるチキータ=リュブリャナとランジェ=マリメデは油断ならぬ切れ者と聞く。
 偽情報をつかまされている可能性は、無視できぬのでは無いだろうか?」

青年から報告書を手渡され、目を通しながらチャンが口を開く。

「俺だって手放しで信じられる情報となんて思っちゃいないさ。
 だがな、偽情報にしちゃ少々お粗末が過ぎるとは思わんかね」

セレス=ミリディアとミツハ=ヴァンドルーアは、「竹馬の友」「刎頚の友」にも等しい関係として広く知られていた。
王としてはあまりに若すぎるセレスの即位後も他国がミリディアに一目置いていたのは、この絶対的守護神ミツハの存在があるからに他ならない。
その両名の間が、急激に冷え込んでいると言うのである。
偽情報として使うにはあまりに陳腐すぎるし、やるにしても自然を装うためにもう少し時間をかけるのではないか。

「いいだろう、疑いすぎて何もせざるは愚の骨頂。引き続き、より一層注意深く動向を観察する事とする」

思考と共に停滞する空気を切り裂かんが如く、チャンの声が響いた。

「ひいては、お前には小勢と共にミリディア領チャルダラにほど近いイェフィまで先行して貰う。
 態勢が整い次第、俺とクミスネで本隊を率いてイェフィに入る。やってくれるな、テムギン=ハリムガイ」

「おい、ルーシュンはどうするんだ」

テムギンと呼ばれた青年が、驚愕の声を上げた。ルーシュンに駐屯している手持ちの兵は、全てをかき集めても大軍とまでは言い難い。
ルーシュンは元々はタラチェト領。戦力を分散すれば、奪還の機を虎視眈々と伺う「若鷲」の餌食となる事はまさに火を見るより明らかだった。

「ミリディアが丸々手に入るなら、ここよりも余程魅力的な根城になるとは思わんか」

チャンの言葉は、ルーシュン放棄を示唆していた。
幾年にも渡る臥薪嘗胆の末にようやく手に入れた本拠を、あっさりと手放す大胆な戦略。幾多の戦場を駆けた騎馬民族の勇者テムギンも、流石に度肝を抜かれた。
失敗すれば、また流浪の根無し草に逆戻りである。しかしチャンの瞳の奥底に燃える物を、テムギンは見逃さなかった。

「……よく解ってるさ。お前がその目をしている時は、何を言っても無駄だ」

多少の皮肉も混じった、彼なりのGOサインだった。テムギンは踵を返すと、政庁を出て兵の集まる屯所へと向かった。
戦友の背を見送るチャンの脳裏に、クミスネと見た赤光の明星が浮かんでは消えていた。

「紅一点」とも言う。赤は古くから「女性」「母性」を象徴する色だ。
あの赤い星は、セレス=ミリディアかミツハ=ヴァンドルーアを表していたのではないのか―――?

二人に本当に何かがあれば、ミリディア奪取は一気に現実的な物となるだろう。しかし先行きが不確かな時ほど、人間とは自分に都合の良い解釈ばかりを信じたくなる生き物である。
当然ながらチャンもそれは理解していた。故に何度となく意識からあの紅星を消し去ろうと試みたが、それは消えても消えても再び浮かび、あの日と同じ儚い明滅を繰り返していた。



364年1月 出陣(イェフィ)空白地のため即占拠
     テムギン・クミスネ:移動(イェフィ)
     チャン:輸送(金・米・兵全部→イェフィ)
posted by 霧野 流 at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | フリゲ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/41068751
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック